家を洗う5
クライマックスの障子張りは日曜日に行われた。
その前の土曜日、まず子どもたちを巻き込んで、窓ガラス&網戸掃除を行う。よく晴れて気持ちのいい日。相棒は仕事。海が部活から帰ってきて、みんなでお昼を食べ、食休み(これが大事!)をした後、おもむろに始める。
窓は庭に面している。すべての作業を外から行うため、午前中に庭を整地した。自転車をどかし、積んであった竹の棒をどける。長いので、捨てるために切る作業を森に依頼。と書くとかっこいいけど、なんのことはない、のこぎり遊び。
午後、長柄のワイパーとブラシで窓&網戸を磨く。花形仕事は海。窓ガラスをぴかぴかにするのが気持ちいいんだそうだ。私は窓枠を拭いて、地味に応援。森はというと、午前中に切りそろえた90センチくらいの棒で「家を造る」とがんばっている。
庭に面した窓は3面。海は和室を終え、「他もやってもいい?」。どうぞどうぞ、と私はその間に障子の桟から張りついた紙を濡らしたぞうきんではぎ取る作業にかかる。実家にも障子はあり、イネばあちゃんとよく障子張りをしたのを思い出す。そのときの記憶通り、やはり紙はとれにくい。仕事を終えた海も途中から加わってくれたが、やはり少しずつしか進まない。夕方、相棒が帰ってくる頃、ようやく終わりが見えた。
次の日の障子張りは4人がかり。といってもちょうどお昼前に始めたので、ときおり私か海が台所に立つ。大人のどちらかが障子を張り、森はそのときに必要なもの(ノリとか拭き取る布とか)を渡す役。
窓から外さずに障子を張るのは、想像以上に大変だった。特に桟が下になっているほう。ノリも一度にはつけられないから、三分の一ずつつけた。そして一番困ったのは「風」。庭を吹き抜ける風が、ついでとばかりノリの乾いていない障子紙をいたずらする。私ははじめ外で押さえる役だったのだが、脚立の上に片足をかけたまま、限界まで手を伸ばして一番上を押さえ、さらに身体の線を使って、横から風が入らないように障子に張りついていた。文字通り「身体を張って」、貼った障子紙だ。
一枚目はようやく完成。そしてうどんをゆでていた海から
「そろそろいいよ!」の声がかかる。ここで私と海は交代。私がゆであがったうどんを冷やしている間に、こんどは海&森と相棒でもう一枚の障子を張る。
「麺喰い」の我が家にしても滅多に食べない量、900gの冷や麦が水で冷やされ、ひと巻きずつ取って、器に盛られる頃、もう一枚の障子も無事完成。そして、その冷や麦がすべて食べ尽くされ、4人で映画を見ながら食休みをしているうちに、ノリも乾いた。はみ出した障子紙をカットし、今度こそ本当に障子張り完成。
障戸を閉めた和室には、柔らかい光が満ちていた。子どもたちは生まれて始めてみる風景に目を見張った。たかが一部屋、されど一部屋。家の他の部分にだって掃除をする余地は山ほどある。けれど、この部屋が生き返ることによって、この家によどんでいた何かが、通りはじめたのはまちがいない。
子どもたちはそれぞれにこの和室を活用している。森は「真っ暗ごっこ」ができる部屋、押し入れには入れる部屋、として。海は座卓でそろばんをする。そして相棒は、夕食の後、ここにごろんと横たわり、身体を伸ばしてから二階に行くのがひとつのパターンになりつつある。もっともその静寂は長くは続かず、次第に夕飯を終えた子どもたちによって浸食されるのが常なのだが。
和室が開放されて、一番喜んでいるのは、結局のところ、彼なのかもしれない。
(終わり)
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コメント
あ~。懐かしい。昔、両親と障子や襖を張り替えたのを思い出しました。あれは、楽しい思い出です。
やりたくなってしまいました。ブログ読んでよかったです。ありがとう。
投稿: ぽぽ | 2009年7月 8日 (水) 11時53分
ぼぼさま
えっ、えっ、ふすまも張り替えたんですか?
実はふすまも張り替えたいんです。
今度そのお話し、聞かせてくださいね。
たぬきばやしで、あえるかな。
投稿: 風子 | 2009年7月 8日 (水) 13時56分