てんちゃん
石が作りたい、とある日、森が言った。
石なんぞどうやって作るんでえ、と思った。
よくよく話を聞いてみると、木を切って、削って、石ころを作るんだという。要は昨日買ってもらった「自分のノコギリ」を使いたいということらしい。
当然一人ではできない。この日はクリスマス・イブ当日。海は最後の学校で、いない。仕方がないから晩ご飯の仕込みをしながら、つきあってやることにした。
まず、材料の木を切る。先日ロケット作りにつかった柔らかい木が残っていたので、立方体になるよう印をつけ、後は森がノコギリで切る。柔らかいから刃は進むが、それをおさえるのが一苦労だ。押さえるのはもちろんわたし。
工作の好きな子どもなら、ノコギリはかなり幼くてもやりたがる。できばえさえ気にしなければ、やるのはそんなにむずかしくない。ただ押さえる力がないので、大人がしっかりと押さえる。冒険あそび場でも、切ることだけをずっとやっている子どももいる。
つぎに角を切り出しで落としていく。森もやりたがる。包丁などは握ったことはあるが、左手で木片を持って、削っていくのは、まな板のうえで野菜を切るのとはちがう。しばらくわたしがやっているのを見学させた後、森の手に乗せて、やらせてみる。手つきは悪くない。ただ手も小さく、指も短いので、思うように刃に力が入らない。親指で刃のところを押すように削っていくのだが、これは明らかに無理。持ち手と距離がなさ過ぎる。本人も納得して、後はわたしがやった。
面倒くさいが、このプロセスを踏まないと、いつまでも「森がやる~」といって聞かない。
後は紙ヤスリ。目の粗いものから順にかけていく。これは側についていなくても大丈夫。で、仕込みにもどる。お、だんだんマルになってきた。
こうして石はできた。でも形って不思議だ。特にマルは。卵がそうであるように○は命の形だから。案の定、森は「顔を描く~」と言い出した。「マジックで描いたら」と提案して放っておいたら、なんともいたずらそうな顔ができていた。名前もついている。
「てんちゃん」という。森によると「ほっぺたに点がついているから、てんちゃん」
てんちゃんには胴体が必要だ。ちょうど目のまえにワインのコルクがある。手は「流木箱」をごそごそ探して見つけた。「流木箱」とは、一時なにか作ろうと、流木を拾っては放り込んでおいた箱だ。フェルトで服を作るときに、問題が出てきた。果たしててんちゃんは男の子か、女の子か…。
森は最初「男の子」といっていたのだが、服を作っていくうちに「女の子」と言い出した。服とおそろいの帽子も作った。帽子は森がぬった。服を着せるのにはピンをつかった。だから着せ替え可能です。
そういうわけで「てんちゃん」登場!

腕も小さいドリルで穴を開けて、ピンで留めたから動くのです。

てんちゃんの冒険はいま始まったばかり。(続くかな?)
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